NYLON JAPAN FEB 2023にてマキシマムザ亮君のインタビューと執筆を担当しました。
アニメ『チェンソーマン』第3話のエンディングテーマ『刃渡り2億センチ』を中心に、いろいろなお話を訊いています。
ところで優しさとはなんでしょう。あなたは優しい人ですか?
それは、正解がなく、時代や環境、見る角度によって行先が大きく変化するトピックのように思います。
マキシマムザホルモンは、2013年に、『恋のスペルマ』”FES等におけるLIVEのノリ方講座”という動画をYouTubeに投稿しています。
『恋のスペルマ』という曲のノリ方をメンバー自らグリーンバックで実演、”靴紐が解けてしまった人がいたらみんなでケアする”というシーンも描かれています。啓蒙とエンジョイが同居した素晴らしいクリエイティブです。
2019年には”マキシマム ザ ホルモン 『恋のスペルマ』 Music Video 野外フェス映像ver.”が投稿され、野外フェスにおいてたくさんの腹ペコ(ホルモンファン)たちが熱狂し、頭を振り、モッシュをし、その上で、くまなく笑顔で楽しんでいる様子が記録されています。啓蒙が身を結んでいることがわかります。2022年、失われつつある風景がそこにはあり、涙を流さずにはいられませんでした。
僕はこれら一連の全てに、純度の高い、具体的な優しさを見ています。
一つ一つ違った種類の孤独が、同じ場所に集まり、それぞれの救いを得る。それはまさしく音楽の、ライブの価値であり、マキシマムザ亮君が形作ってきたものです。
言葉にすると薄っぺらくなってしまうけれど、音楽が好きで、それによって生き延びてきたという実感を持つ人たちなら、この感覚が体のどこかに根付いているのではないでしょうか。
彼はインタビュー中に言いました。「僕らが描く血は、一つ屋根の下のような温かい血。」と。それはチェンソーマンのテーマでもあり、「血と優しさ」は、正しいだけ、綺麗なだけではない、人間の本質のようにも思えます。温かい血を受け取り、自分の中のそれを確かめながら、新しくなっていきたいですね。
ぜひインタビュー読んでみてください。